アントロポゾフィー医学を呼称する、または似た名称の療法に関する注意喚起

最近、所定の資格や国際的基準によるアントロポゾフィー医学のトレーニングを受けることがないまま「シュタイナー(式)~療法(セラピー)」や「アントロポゾフィー医学」「アントロポゾフィー療法」を呼称する療法が見られますが、当医師会は一切それらの療法とは関係ありません。

アントロポゾフィー医学は、その国の法律で定められた医療の国家資格を持ち、その国の標準的な医学の研修を修了し、さらにアントロポゾフィー医学の所定の研修を行った医師と、看護師、薬剤師等の協働で行われます。アントロポゾフィー医学は標準医療を「拡張」するものであり、否定するものではありませんので、それぞれの長所を活かしながら、常により良い治療とケアの可能性を探ります。

アントロポゾフィー医学には絵画造形療法や音楽療法などの芸術療法、リズミカルマッサージ、運動療法であるオイリュトミー療法など、アントロポゾフィー医学に特徴的な芸術性や人間観を取り入れた療法も存在しますが、それらの療法を行うにはスイス・ドルナッハのゲーテアヌム精神科学自由大学の医学部門によって認められた、数年にわたる所定の研修を修了していることが必須です。
また病気を持つ人への療法として行う場合は、日本国内の医療に関する法律を遵守の上で、医師の管理下における指示と協働が前提条件となります。

日本における、ゲーテアヌム精神科学自由大学医学部門によって認定された医療職および療法士の会については以下がございます。
日本アントロポゾフィー医学の医師会
日本アントロポゾフィー看護協会
アントロポゾフィーに基づく日本薬剤師会協会
アントロポゾフィー音楽療法士の会
日本オイリュトミー療法士協会
アントロポゾフィーに基づく絵画造形療法士の会
(および、個人で活動しているリズミカルマッサージ療法士、歌唱療法士)

当医師会とこれらの医療職、療法士の会、および一部の個人療法士は、連絡と連携のための機関として、日本アントロポゾフィー医療の会を創立し、活動しています。
日本アントロポゾフィー医療の会 https://r-steiner-i-wegman.jimdofree.com/

アントロポゾフィー医学自体は、書籍もあり、どなたでも学びご自身の生活の中で意識することのできるものではありますが、病気や障害を持つ人に対しその治療を目的として療法を行うことには、法的、社会的および倫理的責任を伴います。
国際的な基準では、アントロポゾフィー医学の療法を、病気の人への治療として行う際は、医師の指示と協働を前提として多職種がそれぞれの専門性を発揮して行うことが求められています。

上記の資格を持っていない、もしくは所定のトレーニングを受けていない施療者が行う療法は、国際的に認められたアントロポゾフィー医学の療法ではありませんのでご注意ください。
また、国際的に認められたアントロポゾフィー医学を実践する医療者が、個人で資格の認定・発行を行うことはありません。

アントロポゾフィー医学の医師の認定を受けるための公式なトレーニングの内容については以下のリンクをご覧ください。
認定医制度 http://j-paam.org/certification

2019年12月8日