アントロポゾフィー医学とは

アントロポゾフィー医学とは

アントロポゾフィー医学は、ルドルフ・シュタイナー博士によって始められたアントロポゾフィーを基盤として、イタ・ヴェーグマン医師(1876~1943)の協力の下に創始されました。ドイツを中心に、現在では60以上の国々で実践され、20,000人以上の医師や8,000人近い各種療法家(芸術療法士、看護師、治療教育家など)が、この医療に携わっており、日本でも実践されています。
アントロポゾフィー医学では、人間を身体、心、精神の統合された全体性として捉え、各個人の生き生きとしたあり方を尊重します。
それは従来の医学を否定するものではなく、それらを補完しながらホリスティックなアプローチで拡張します。

アントロポゾフィー医学のコンセプト

人間の生体内では、さまざまなプロセスが行われています。それらは《病的なもの》及び《健康的なもの》に分けられます。これらのプロセスの理解を進め、治療に役立てていきます。これらのプロセスのうち、どれが問題になっているのかを知るためには、その患者の身体的側面、心理的側面、精神的・社会的側面の全体を考察していく必要があります。
アントロポゾフィー医学では、自然科学的なアプローチに加え、シュタイナーの思想を基にした精神科学的アプローチを行います。そのことで病を抱えた各人の全体を認識し、身体で起きているプロセスと精神に起きているプロセスとの関連性を考え、その両方へのケアを行います。

統合医療としてのアントロポゾフィー医学

アントロポゾフィー医学の治療は、自然科学的な基礎に基づき、現代医学の有用な知識、技術や薬品すべてを用いるだけではなく、精神科学に根ざした人間像から導かれた独特の治療方法によって補います。それには、自然由来の薬品、ならびに、入浴、湿布や特別な(リズム)マッサージを用いた特定の理学的、看護的な療法、さらに造形、線描、絵画、音楽療法、オイリュトミー療法などが含まれます。
すべての芸術的治療方法の目的は、患者本人が治療者の指導のもとで自己治癒のプロセスを呼び起こし、この自己能動的で創造的な行為を通して健康になることにあります。

 

< アントロポゾフィー医学の創始者たち >

ルドルフ・シュタイナー Rudolf Steiner, 1861 – 1925

クラリェヴェクで生まれ、オーストリアやドイツ、スイスで活動した哲学者、神秘思想家、教育者。ゲーテの研究(とくに形態学などの自然科学論)や美学史研究ののち、アントロポゾフィー(人智学)という精神運動を創立した。その思想は、心理学者のユング、芸術家のパウル・クレーやカンディンスキーなどにも影響を与えたとされる。また、シュタイナーの人間観をもとにしたヴァルドルフ
教育は、日本国内でも多くの教育現場で実践されている。
このように医学だけでなく、教育、芸術、社会運動、自然
科学、農業など、影響は多岐にわたる。

イタ・ヴェーグマン Ita Wegman, 1876 – 1943

クラヴァンス(インドネシア)でオランダ人植民二世として生まれる。世紀の変わり目にヨーロッパに戻り、29歳のときにシュタイナーと出会った。その後、アントロポゾフィー運動に精力的に携わりながら、チューリッヒ大学で学び、1911年に医師免許を取得。1921年にアントロポゾフィー医学を実践するクリニックをアーレスハイム(スイス)に設立した。イタ・ヴェーグマン・クリニックは現在アーレスハイム・クリニック(Klinik Arlesheim)として幅
広く地域の医療に貢献している。