アントロポゾフィー医学の診断と治療

アントロポゾフィー医学の診断

アントロポゾフィー医学では、人間をひとつの統合された全体性として考えます。そして人間の身体と精神を、たがいに影響を与えあい、切り離せないものとしてとらえます。

アントロポゾフィー医学では、人間の身体で起きている病気の経過と、精神的・心理的状態の関連性を考え、その両方の検討とケアを行います。そのため、その患者さんの身体的な状態だけでなく、心理的側面、精神的・社会的側面の全体を考察していきます。同じ病気であっても、患者さんによって、アントロポゾフィー医学的な診断および治療は異なってきます。

アントロポゾフィー医学は、現代医学の自然科学に基づいた有用性を尊重しつつ、それを補完する新たな診断と治療の可能性を与えるものです。そのためアントロポゾフィー医学の医師は、その国の医師資格と、現代医学の標準的な知識および技能を持っていることが必須です。

アントロポゾフィー医学の治療

医師、看護職、芸術療法士など多職種の観点からの診断が検討された後、治療方針が決定されます。具体的な治療の柱は医薬品、看護療法、芸術療法の3つから成ります。医薬品には、植物や鉱物などの自然由来の治療力を高めた製剤を用い、マッサージや湿布、フットバスなどの看護療法、絵画、音楽、オイリュトミーなどの芸術療法を組み合わせ、その人の心身の現在の状態に適し、その人の個性や自律性を高める治療法がその都度選択されます。